言えない言葉と 絶えない願いと 消えない誇りを胸に

深夜のNHK 再放送の山本五十六のドキュメンタリーを、たまたま観る機会があった。

歴史で語られる人物像とは、かなり印象が違ったんですが、優秀過ぎるが故、組織内で

は重鎮のポスト(政治的な官僚が希望)には就けず、直接の評価を受ける現場の最前線に

所謂、戦争強硬派から疎んじられてた配置だったと聞いた。結果は本人既に分かっていたが、

山本五十六の偉いところは、私欲を脇において命令された事を、限られた選択の中で、最大限

の成果を上げる事を善しとした。奇襲作戦もそうだった、連戦連勝をしながら短期間で講和条約

を得ようとした点、長期戦になれば勝ち目がない事を知っていた。制空権を奪取する事が、大事

と戦艦の数ばかりの固執した上層部とは一味も二味も違った見識だったことも素晴らしい。

番組のナレーターが語ったように、アメリカは失敗を徹底的に分析して後につなげる国民性が

備わっていると紹介され、日本人は失敗は隠して次は勝つ、根性だ日本人は負けないなどと

精神論が強い性質で、負けを認めたくない国民性かその当時の教育か、今にしてみれば惨めな

戦争終期の攻撃スタイルが災いしてるとの評論だったように思う。また日本人の国民性なのだが

時間に正確というのも逆手を取られてしまった。すでに暗号はアメリカに解読されていて、行動

は筒抜けだったようで、五十六も時間に正確さ故、撃墜されてしまった史実がある。

生きてゆく中で、自分の気持ちを抑えて決定したプロジェクトを進めるケースは多々あると思う。

「思い通りに行かないのが人生さ」というフレーズもあるけど、決して腐らず、やれる範囲でベスト

を尽くす、仕事の進め方は今でも通用するのではないでしょうか。

五十六は死んでなお、軍神に祭り上げられ、形勢が傾きかけているのに、いまなら傷口が小さくて

無駄な被害も抑えられるのに、誰も止めよう、降伏しようと云う者がいなかったし、言える雰囲気

が無かった異常な時代の流れに逆らえず、最悪の結果をもたらしてしまった。

「あの時にやめていれば」 「なんであんな事したんだろ」 と冷静な状態では考えられるのに

その時は、高揚もあり負けを挽回するぞとばかり、邁進してしまう、ギャンブルやアルコールに依存

してしまう人達に似ているかも知れませんね。プライドが許さない、恥ずかしい、噂が怖いなど

色々と思考を良い風に置き換えてしまうようですね。脳というのは、思い出も自分の都合の良いように

書き換えられているのだとか聞きました。

そうそうドラマのような大逆転は起きませんし、何の準備を日頃から行っていないのに、都合の良い

事が次々と発生もしません。「奇跡が起きた」、「偶然にこうなった」って報道される事も、その方

の日頃の心がけと気遣い、目にみえない努力があってこそ発生したのではないでしょうか。

私達の仕事も単調に見え、長く勤めていくと刺激がなくなり、ついつい流れ作業的になりやすいです。

最近観たテレビCM 三菱ビルテクノサービス エレベーターなど保全に従事するスタッフさんの、

ご苦労をそっと映し出す映像で流れる音楽のセリフが秀逸です。

「みえない時間に みえない場所で みえない誰かを想い 目立たず 知られず

でも それで それで いいんだ」

当社の仕事も同じではないでしょうか、貴方が居ないと困るんですよ。誰かのために 自分のために